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まほろばみたいな「まほろ駅前多田便利軒」

先月ハワイ行きの飛行機で観た映画がおもしろかったので原作を読もうと思っていた『まほろ駅前多田便利軒』。

多田の前にある日突然現れた行天(ぎょうてん)。
行天は高校の同級生だが多田には再会の喜びはなく、むしろ苦い思い出がよみがえるほど。
それは行天の小指の思い出。

高校時代の行天は成績も見た目もいいがかたくなに言葉を発しない男で、変人だった。
三年間でしゃべったのはたった一回で、それも工芸の時間にクラスメートの不注意で彼の小指が裁断され飛んでしまったときの「痛い」だけ。

しかし再会した行天はとても饒舌な男に変わっており、なぜか多田のところに居ついてしまう。
一方多田は行天が言うとおり、普通に大学を卒業して普通に会社勤めし、結婚し子供をもうけるような人生を過ごした時期もあったが、今は便利屋。
若くして世捨て人のような便利屋を営む多田とそこにころがりこんだ行天。
二人の便利屋稼業が始まる。
便利屋の仕事は各ご家庭のめんどうでありふれたことの処理なのだが、この二人の仕事にはときおりあぶない雰囲気が。
二人してまるで探偵のように仕事する羽目になる。(多田はそれを行天のせいだと考えているが)
やがて行天のもつ謎が明らかになり、多田の心の闇のようなものもはっきりしてくる。
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読んでいたら多田のほうが行天より少し不幸に見えた。

行天のはちゃめちゃぶりに心の鎧みたいなものを剥がされそうになって、多田は行天を追い出した、たぶん。
行天の小指について多田が思ってきたこと。
「一度断ち切られたものが、元通りになるわけがない」
「一度肉体から切り離されたものをまた縫い合わせて生きるとはどういう気分だろう。
どれだけ熱源にかざしても、なお温度の低い部位を抱えて生きるとは」

そんな多田に行天は、「傷はふさがっているでしょ。たしかに小指だけいつもほかよりちょっと冷たいけど、こすってれば、じきぬくもってくる。すべてが元通りとはいかなくても、修復することはできる」と言う。

多田はそれを否定したが、いなくなった行天にもう一度会いたいと思う頃にはこう思い始めている。

「失ったものが完全にもどってくることはなく、得たと思った瞬間には記憶になってしまうのだとしても。」
「幸福は再生する、と。形を変え、さまざまな姿で、それを求めるひとたちところへ何度でも、そっと訪れてくるのだ。」

ところで「まほろ」ってまほろば、とかまぼろしを連想する、と思ったら、解説にもそんなくだりがあった。
「まほろば」は「すばらしい場所」「すみやすい場所」という意味だんだそう。
311より後、幸福の再生、という言葉に簡単には頷けないが、でもそうあってほしいと思える、気持ちが癒される小説だった。

by jellyfish222 | 2011-08-28 15:28 |

楽しい楽器の博物館

夏休み最終日は、
浜松市楽器博物館のサロンコンサートに参加した妹と楽器博物館を堪能。
楽器好きには堪らない楽器の宝庫。
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燭台つきピアノ、いろんなタイプあり。
ちょっとゴシックホラーに出てきそうな雰囲気。
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現KORG社製作の初代リズムボックス「ドンカマチック」
バスドラムの「ドン」とクラベスの「カッ」という音が出る「オートマチック」から命名だそう。
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体験コーナーで馬頭琴。
音、出ました、ちょっと嬉しい。
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鍵盤短かい・・・
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by jellyfish222 | 2011-08-26 12:36 | たび

夏休み終盤

夏休みも今日を入れてあと三日。

七月には一足先のバカンスをハワイで楽しんだので、この夏休みはもっぱら家で過ごした。
今日は久しぶりのお出かけ。
妹宅でサックス・ピアノデュオの合わせ練習である。
お昼はご近所の玄米菜食カフェにて。
見かけてはいたけど入るのは初めて。
店内は親しみやすい木が基調のつくり。
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玄米ご飯に大豆タンパクの唐揚げ、ミョウガ、ネギの豆味噌汁。
おいしゅうございました(^^)

豆腐のベイクドチーズケーキ、黒糖とひえのレアチーズケーキetc
スイーツも美味しそうだったので、また食べに行こう。
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by jellyfish222 | 2011-08-19 19:30 | おいしいもの、かわいいもの

月夜に思い出した詩

昨夜は満月。
月で思い出す詩がある、
月がでたから小舟に乗るっていう詩、きっとこれ。

中也だったんだ。
朔太郎かと思っていたけど、あれは『月に吠える』


中原中也/湖上

ポッカリ月が出ましたら、
舟を浮べて出掛けませう。
波はヒタヒタ打つでせう、
風も少しはあるでせう。

沖に出たらば暗いでせう、
櫂(かい)から滴垂(したた)る水の音は
昵懇(ちか)しいものに聞こえませう、
――あなたの言葉の杜切(とぎ)れ間を。

月は聴き耳立てるでせう、
すこしは降りても来るでせう、
われら接唇(くちづけ)する時に
月は頭上にあるでせう。

あなたはなほも、語るでせう、
よしないことや拗言(すねごと)や、
洩らさず私は聴くでせう、
――けれど漕ぐ手はやめないで。

ポッカリ月が出ましたら、
舟を浮べて出掛けませう、
波はヒタヒタ打つでせう、
風も少しはあるでせう。




何年か前、社員旅行先で偶然見た藤城清治さんの影絵展。
よく目にしていたけど、作家の名を知ったのはそのときだったな。
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by jellyfish222 | 2011-08-15 17:26 |

月夜ににあうもの

公園で見上げた月はまんまる。
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妹からのお土産
ドイツのフランケンワイン。グラスにそそぐと金色。
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オードリーの歌うムーンリバー。

by jellyfish222 | 2011-08-13 12:43 | 映画、TV

BGMはせみの声

夏休み一日めは朝ごはんのパンが切れていたので、近所のコーヒー豆屋さんでお茶をして
せみの声をBGMにいつもの公園を散歩。

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by jellyfish222 | 2011-08-12 00:23 | わが街・界隈

お茶を飲むこと

何年か前、高校時代からの友人が自筆で書き写してくれた文を送ってくれた。
美しかったので額に入れて飾っている。
さいきんあらためて読んでみた。
なんとなく漢詩だと思っていたのだけど、調べたら許次逎(きょ じじょ)という人が書いた『茶疏』(1597年)というお茶についての本の中からの一節らしい。

「飲時」
心身ともにゆったりしたいとき
読書や作詞につかれたとき
気分がいらいらしたとき
歌や曲を聴くとき
歌や曲を聴き終わったとき
門を閉じて世間を避けているとき
琴を弾いたり絵を見るとき
深夜に人と語るとき
明るい窓辺で机に向かうとき
奥座敷や離れにいるとき
客と主人が団欒しているとき
よい客やかわいい女性といるとき
友人を訪ねて帰ってきたとき
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晴れて風の穏やかなとき
薄曇りで小雨の降るとき
小さな橋のたもとに船を停めたとき
林に竹が伸びるのを見るとき
花の手入れや小鳥の世話をするとき
蓮池の亭で涼むとき
中庭で香を炊くとき
酒宴が終わり客が帰ったとき
こどもの勉強べやを覗いてみたとき
有名な泉や岩を見るとき

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400年の昔から人がお茶を飲む気分はかわらないのだなあと感慨深い。
そして
願わくば誰もがゆったりとお茶を飲んで過ごせる日々がきますようにと思う今日この頃。

by jellyfish222 | 2011-08-09 15:24 | 雑感